子宮筋腫・子宮内膜症・子宮腺筋症
子宮筋腫・子宮内膜症・子宮腺筋症は、これらの疾患は「エストロゲン依存性疾患」として共通しています。
エストロゲン依存性疾患とは、エストロゲンだけにさらされる状態が続くことで進行する病気のことで、出産経験のない人や出産回数の少ない人がその対象になります。
昔、女性は子供を6~7人生むことも珍しくなく、結果的に妊娠期間中が長くなります。その分、月経回数が少ないということです。現代女性は「子供を産まない人」、「産んでも1人」、「初潮年齢が早い」などのケースが多いことから、生涯で経験する月経の回数が増えています。
月経の回数が多いということは、生理周期の一時期にある「エストロゲンだけにさらされる状態」を数多く経験するということになり、「エストロゲン依存性疾患を発症するリスクが高くなる」ということなのです。
3つの状態を比較
子宮筋腫 | 子宮内膜症 | 子宮腺筋症 | |
---|---|---|---|
好発年齢 | 40代 | 30~40代 | 40代 |
好発部位 | 子宮 | 骨盤・卵巣 | 子宮 |
症状 | 過多月経・頻尿・便秘 | 骨盤痛・月経困難症・不妊 | 月経困難症・過多月経 |
原因因子 | 初潮がはやい・肥満 | 月経回数が多い | 多産・子宮内操作 |
診断法 | 画像 | 腹腔鏡・画像 | 画像 |
手術 | 有用 | 有用 | 困難 |
症状の比較
子宮筋腫・子宮内膜症・子宮腺筋症の症状には、月経困難症、慢性骨盤痛、過多月経、圧迫症状、不妊,流早産、悪性化などがあります。
下記の図で症状を比較してみます。
まず、月経困難症や慢性骨盤痛などの疼痛症状は、子宮内膜症と子宮腺筋症では非常に強いこと。
子宮筋腫では比較的軽く、痛みが強い場合には合併する子宮内膜症や子宮腺筋症が原因であることが多いです。
過多月経は子宮筋腫、特に子宮の中にできる筋層内筋腫や粘膜下筋腫で強く、子宮腺筋症でも子宮内腔の変形を伴えば月経量が増えますが、子宮内膜症だけでは、月経量への影響はほとんどありません。
子宮筋腫は腫瘤による圧迫で、膀胱(頻尿、排尿障害、閉尿)、尿管(水尿管症、水腎症)、直腸(便秘)、骨盤内血管(下肢浮腫、静脈瘤)などをきたし、大きな子宮腺筋症では時には同様の圧迫症状を示しますが、子宮内膜症では圧迫症状はほとんどないです。
悪性化については、子宮内膜症が原因となる卵巣癌、腹膜癌の発症は比較的多く、まれに子宮腺筋症から発生したと思われる子宮内膜癌も報告されています。
子宮筋腫 | 子宮内膜症 | 子宮腺筋症 | |
---|---|---|---|
月経困難症 | + | +++ | +++ |
慢性骨盤痛 | + | +++ | +++ |
過多月経 | +++ | ++ | |
圧迫症状 | ++ | + | |
不妊 | + | +++ | ++ |
流産・早産 | + | + | |
悪性化 | + | +++ | ++ |
子宮筋腫・子宮内膜症・子宮腺筋症による生活への影響
子宮筋腫・子宮内膜症・子宮腺筋症は共通して月経困難症や慢性骨盤痛の原因となります。
平成12年の厚生労働科学研究では、「月経困難症は月経を有する女性の33%に認められて、そのうち50%は器質性の原因を有し、特に子宮内膜症は27%、子宮筋腫は17%、子宮腺筋症は4%に認められました。」と報告されていました。
月経困難症のために、仕事を欠勤したり、減らしたりする女性は27%に及びようで、この3疾患による疼痛は、女性のQOL(生活の質)に大きな影響を及ぼしています。
子宮筋腫・子宮内膜症・子宮腺筋症による妊孕性の低下
子宮筋腫・子宮内膜症・子宮腺筋症は共通して妊孕性の低下にもつながります。
子宮内膜症では30~50%が不妊と言われ、子宮筋腫や子宮腺筋症も子宮内腔や卵管への影響の程度によって不妊因子となります。また、子宮内膜症では流産率は特に高くないですが、子宮筋腫や子宮腺筋症は流産・早産の原因となりえます。
年齢とともに妊娠率は低下します。2011年の生殖補助医療(ART)のデータをみると、35歳から妊娠率、生産率ともに急速に低下し、流産率は急速に増加します。この加齢による妊娠率の低下は大部分が卵子の質の低下(染色体異常)を反映しています。
子宮内膜症は20歳代半ばから発症し、30歳前後に後発するので、加齢による卵の質の低下が始まる前の妊孕性の低下にも大きな影響を与えます。閉経まで根治が難しく、再発も繰り返すので、35歳以後に卵の質が低下してきた場合には、より大きなダメージとなります。
子宮筋腫と子宮腺筋症の発症も、卵の質が低下してきた時期と重なるので、不妊治療がより難しくなる可能性があります。
子宮筋腫・子宮内膜症・子宮腺筋症の鍼灸治療
病院での治療の中で、各疾患の注射や薬を投与することで、体への負担が大きく、卵胞の発育を妨げたり、卵巣が腫れたり体調が回復すまで時間がかかるなどの状態も考えられます。
各疾患の原因には、ホルモン、子宮、卵子の問題など多岐にわたります。より有効な治療を進めるためには、病院の検査で原因を追究し、治療をすすめながら、カラダにかかる負担を鍼灸で緩和していくことが理想です。
リッカに不妊鍼灸で通院されているかたの9割は、病院と並行して治療をすすめられています。病院で不妊の原因に対する治療をしながら、自身の回復力を高めていき、妊娠するためのカラダづくりを鍼灸でしていくことが病気を克服していく近道になると考えています。
筋腫の手術で、妊娠する確率があがるかというと、
まだわからないというのが現状です!
病院によっても見解がかわってくるので、カウンセリングに
重点をおきながら鍼灸でカラダを整えていきましょう。
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